極貧孤児に転生したので、親を探して文句を言おうと思う
「ねえ、知っている? 実はあなたのお父上のジーレット侯爵は命を取り留め、魔帝国のコルジェという街で暮らしているの。でも、身寄りがなくて……生活にも困窮しているらしいわ。そこで彼の面倒をあなたが見てあげるというのはどうかしら? それを約束できるなら、他の聖女たちは聖王国に返してもらえるよう、私からもお願いしてみる」

 つまり……他の人たちのために自らが苦汁を飲む覚悟を、彼女が持てるか。
 もちろん私が言った内容は嘘だ。ジーレット侯爵はもうすでに亡くなっているから、そんなことはもし彼女がいくら望もうとできない。

 多分……私は期待したかったんだと思うんだ。どんな人でも辛い目に遭ったり、痛みを知ることで誰かに優しくできるようになる。変わることができるんだって……。

「お、お父様が? そ、そんな……」

 話を聞いたアンジェリカは、動揺するようにきょろきょろと目を動かし、爪の先を噛んだりした。私はそのまま彼女の返答を待つ。

 やがて彼女は、ひどく慌てた様子で口元に媚び笑いを浮かべて言い募った。
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