極貧孤児に転生したので、親を探して文句を言おうと思う
「……ええと」
「貸せ……手伝う。どうせ指令室に籠っていたってろくな考えが浮かんできやしないしな。それよりかは、少しでも兵に声を掛けて元気付けてやりたい」
「「し、しかし殿下……」」
「いいんですか……! ありがとうございます!」

 制止する護衛に強引に上掛けを押し付けて袖を捲ると、ポピアは深く頭を下げ、バケツを渡してくれた。中は補修剤の漆喰で満たされていて重い。

 そこからは、城壁の一角に設置された石造りのプールから補修剤を汲み出し、壁に塗りたくる兵士たちのもとへ届けがてら、話を聞いてやった。

 やはりそれぞれが、不安を抱えながらもこの場所に立っているようだ。

 ――身重の妻が待つ家に早く帰りたい壮年の兵士。
 ――名を上げようと、年老いた両親に見送られて出て来た若い兵士。
 ――生活苦に喘ぎ、泣く泣くこの戦いに参加した者もいる。
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