極貧孤児に転生したので、親を探して文句を言おうと思う
「あの、これは?」

 手のひらに収まるほど小さな、白い鉢植え。
 尋ねると、店主は無骨な顔を微かな笑みの形に変えた。

「ああ。それなんだが、聖力を与えると芽が出る花の種が植えてあってな。娘にも試させてみたんだが、うまくいかなくなぁ。あんた、聖騎士なら聖女の知り合いのひとりふたりいるだろ? 咲かない花は寂しいもんだ、よかったら誰かに渡してやってくれねえか」

 店主はそのまま鉢植えを袋に入れてこちらに押し出す。
 聖騎士と付き合うことになる聖女も多いから……もしや、この花の届け先がそういう人なのだと勘違いしたのだろうか。

 でもまああの人が、鉢植えひとつ増えたところで嫌がることもあるまい。
 悪くない手土産に僕は口元を綻ばせた。

「ちなみに、どんな花を?」
「さあね。花も生き物、ひとつひとつ顔が違うもんでな。“咲いてみてのお楽しみ”っうことで、自分の目で確かめてみな」
「ありがとう。大切に育ててくれる人に渡すよ」
「礼には及ばねえ。これからもよろしくな、お得意さん」
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