極貧孤児に転生したので、親を探して文句を言おうと思う
「あうっ……!」

 彼女は私に近づくとその足で、手のひらをガッと踏みつける。
 でも、その片方の瞳からは、透明なものが滴って。

 メナはそれを親指で弾くと月を仰いだ。

「……世界の再構築には、この様子だと後数日かかるか。よかったね、このただならぬ様子を見て、どこも戦争どころじゃないだろう。さあ、王国に帰り、友人たちと別れまでの時間を惜しむといい。ハハ、私は……成し遂げたんだ。他のものを全部捨ててまで……。フ、クク――」

 虚しい笑い声を響かせる背中を見て、私にもなんとなくわかってしまった。
 彼女もこの再構築が終わった後で、自分が何もかも満たされた日々に帰れるとは信じていない――きっと。

(でも、もう私何もできない……)

 たくさんの人の期待を背負って来たのに……結局はこうして這いつくばっている。諦めず、立ち向かうことを選択したのに、指先ひとつも動かせない。
< 706 / 840 >

この作品をシェア

pagetop