極貧孤児に転生したので、親を探して文句を言おうと思う
 無言で首をふる兄さんの腕に掴まれ、私は悲鳴を上げた。この人を、見殺しにしてまで生きるなんて……そんなのっ‼

『あわてないで、シオリ……』

 そんな時だった――優しい声が耳を揺さぶったのは。
 この場に居るはずもない誰かの……。

「待てアルベール! 虚無の勢いが……弱まった?」
「ああ……いったい何が」

 今まで押し縮められるばかりだった空間がぐっと広がり、防御に掛ける負担がうんと軽くなる。

『……おかあさんたちにおねがいしたの。いくまえに、すこしだけちからをかしてあげようって……』

 皆が戸惑う中……。声は私の側頭部、頭に付けた髪留めから魔力と共に流れ込んでくる。

『これがほんとうに、わたしにできるさいごのこと。ありがとう……ふたりとあわせてくれて。おかげでわたしは、たいせつなひとをにくみつづけなくてすんだ。このまま、きれいなながれにかえれる……」
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