極貧孤児に転生したので、親を探して文句を言おうと思う
 世界を変革するほどの装置だ……一度きりの使用で壊れてしまったとしてもおかしくはない。鍵となる漆黒の桂冠も失われ、今まで魔力で満たされていた空っぽの器の部分にも、ところどころ亀裂が入っている……。

「距離を隔てた黒い月への経路を開き、蓄えた膨大な魔力を移すための送信装置――これが使えねば話にならん。一か八か再起動を試みる他ないじゃろうな。名うての魔道具師に装置を検めさせ、すぐに準備を――」
「いや、その代わりを私にやらせてくれ。原初の魔女の模倣だと言われし、私の本の奇跡は……想像し得るほとんどの事柄を再現できる。それで、ベセルのコピーを、生み出し――……っ」
「……そのていでか」

 胸に手を当て重要な役目を買って出たメナだったが、身体をぐらりと揺らすとルイーゼ様に支えられた。やはり、先刻のダメージが大きいのだ。

「でも……ロバートに会えて心の力は回復しましたから。さあ皆さん、こちらへ」

 ルイーゼ様がそう声を掛け、私たちの身体を、水の奇跡で作り出した癒しの霧で覆う。傷が塞がり、疲労の濃かった皆の顔色が、かなり改善していく。
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