極貧孤児に転生したので、親を探して文句を言おうと思う
 ずいぶん重たい内容を、まるでつまらない小噺のように軽く笑い飛ばすと、彼女はそこで話を締めくくる。

「よって、世に役立つ功績を収めた私は蒼薔薇の称号を手にし……今はこうして室長として皆々の尊敬を一心に受けるようになった、というわけなのです。はーっはっは、すごいだろ? 君もこれから、敬う心を忘れないようにね?」
(面倒くさい人……)

 実際まあ、すごい話だけども……。
 素直に自分を褒めさせたいのなら、まずその人を食った態度を改めよと忠告した方がいいのだろうか。
 
 いや……今はそんなどうでもいいことより、薬の話だ。
 母の死後、聖女病に対する特効薬が開発されていたなんて私は欠片も知らずにいた。

(どうして……)

 憎い……湧き上がるこの勝手な想いが。

 薬を完成させた彼女の苦労を労う以前に、どうして、と――。
 もし母の生きていた時代にそれを完成させてくれていたなら……そんな的外れな苛立ちを募らせてしまう、自分の醜さが。
< 749 / 840 >

この作品をシェア

pagetop