極貧孤児に転生したので、親を探して文句を言おうと思う
 具体的な期限が明示され、私は喉を動かす。予想よりも……かなり早い。

『こないだ、あなたたちの誰かが黒い月を使ったわね。あれにより、世界に大きな負荷がかかった。しかも、長い年月をかけて溜めていた魔法のエネルギーはもう空。あれはもしもの時の備蓄食料のようなものだったから……備えがないまま時が満ちれば、何もかもが完全な虚無に溶け込んでしまう』

 やはりあの器具も、ルシエさんが万一の時のために用意したものだったのか。今までその存在を知らせずにいたのは、私たちへの期待ゆえか……それとも、温情処置だったのか。

『実は……私たちの間でも、まだちゃんとした方針が固まっていなくて』

 私は彼女に悩みを吐露した。世界書の修復が不可なら、別の容れ物を用意するかしたいところだが……現在の法具や魔道具のいかなる技術を掛け合わせたとして、虚無の中に小さな世界を生み出すだけでも何年かかるか――。

『で、でも大丈夫……いざとなれば、私がルシエさんと同じように世界書に……いたっ!』

 私の空元気は無残にもデコピンで破壊された。
 顰め面の老女が不満げに口を尖らせる。
< 770 / 840 >

この作品をシェア

pagetop