極貧孤児に転生したので、親を探して文句を言おうと思う
「ええ……そりゃもうたくさん。聖女仲間に、孤児院の皆。もちろんアルベール様や兄さんとか、ヴァシリーサ様も好きです」
「…………えーと」

 彼はそれを聞くと、のほほんとした私の態度にこめかみを押さえた後、気まずそうに視線を逸らした。

「聞き方を変えようか。その……恋愛に興味があるのかってことを聞きたかった」
「ああ……」

 代わろう、そう言ってアルベール様が私の手から手綱を攫った際、指が触れ合いびくっとなる。
 改めて問われ、自分でも心が壁を作ったのが分かった。でも彼とは、いつかしっかり向き合わないといけないのは明らかだったし……。逃げ出したい気持ちを抑えながらの自問自答の後、告げた。

「よく……わからないんです。少なくとも、恋っていう感情は……そういう理由で人を好きになったことは、ないと思います」

 そう結論付けた私を、アルベール様はじっと見つめた。穏やかな陽射しを被るその顔は異常に美しく、きっと一目見れば多くがこの人に魅了されてしまうはずだ。かつて私も、出会いたての頃そんな感情を少しだけ抱いていた……。

 けれど……あれはきっと、少女が絵本の王子様に抱く淡い憧れのようなものだったのだろう。
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