極貧孤児に転生したので、親を探して文句を言おうと思う
 その唇が、ゆっくりと動く。

「君の傍にいたいだけなんだ。君がたとえ、誰を好きにならなくても。一生、触れあえなくとも……ただ君の近くで、その姿を見守っていたい。喜びは分かち合い、悲しみも引き受けて……」
「それは――」

 ただ、同じ場所で限りある生を共有したい。それはずいぶんと一方的な……ある意味暴力的な契約で。

 私は、対等が好きだ。誰かになにかをしてもらったら、同じ分を返したい。
 なのに、この彼の言葉を受け入れても、私は返せる気持ちを持っていない。
 それじゃ、どちらも苦しいだけ――。

「いいじゃないか、別に」

 ――あなたの幸せな未来を、奪いたくないんです。
 そう言おうとした私の口をそっと彼の手が塞ぐ。

「言ったろ、僕がそうしたいんだ……。つまり、そうしないと、今よりずっと僕は不幸になって、寂しくて死んじゃうかもね。そしたら、君の枕元に化けて出て、夜な夜な恨み言を呟いてやろうか。ははっ……」
< 800 / 840 >

この作品をシェア

pagetop