極貧孤児に転生したので、親を探して文句を言おうと思う
 その時の笑顔は本当に優しくて……。
 彼は、それだけを言うと……私の身体をそっと離した。
 ピシッと……何事もなかったかのように馬に軽く鞭を入れ、再び馬車を動かしだす。

 どうせ苦しむのなら、君のそばで……。
 そんな狂おしくもある愛の言葉に対し……私が言えたのは。

「後悔しますよ」

 ひどく複雑な感情の入り混じった、そんな相づちだけ。しかしそれすら……。

「しないさ。心が決めたことだから」

 アルベール様はあっけらかんと笑い飛ばしてしまう。

 悲しいことに……あんなに強く抱きしめられても、私の中に特別な気持ちだと思えるものは、未だ芽生えていない。

 だけれど……遠くの道の先を見つめながら、ほんの少しだけ願ったんだ。
 この先、私の中で何かが変わることを――。
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