極貧孤児に転生したので、親を探して文句を言おうと思う
 ぐんと落下速度が落ち、これまで砂塵と雪で塞がれていた周りの景色が、だんだんと露わになってきた。

「これが……こっちの世界」

 さすがに、この高い月映宮からでも眼下に広がる光景を直視することは叶わないけど……。ここから見える地平線の向こうだけでも、世界が果てしなく遠くまで広がってしまったことを感じ取れる。

『帰って……これたのね』

 ルシエさんがしわ枯れた声を出した。
 聞き取りづらいのは、きっと彼女の感情がこれまでになく大きく揺さぶられているせいだ。無理もない……五百年以上の時を越え、二度と見ることは叶わないはずの故郷へと戻ってこれたのだから。

『あなたたちには……本当に感謝しなくては。やはり私は心のどこかで……ずっと、もう一度この場所に降り立つことを願って、いたんだわ――』
「あ……世界書が……」

 ティリシャ様が抱えていた世界書がひとりでに手を離れ――淡く輝くとひとりの老女の姿に戻る。
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