極貧孤児に転生したので、親を探して文句を言おうと思う
 リビングの椅子で彼が弾いていたのは、鮮やかなブルーのハープ。
 私のイメージだと女性が弾いている場面が多い気がするこの楽器も、絶世の美男子である彼が扱えば少しの違和感もなく。

 アルベール様の話によると、どうも子どもの頃に少し習ったきり……王宮暮らしで楽器を手放してしまったらしく。自由にできる時間が増えた今、骨董品屋で掘り出し物を探してきて、自分で弦を張り替えてみたんだそうな。

 その上達の早さったらすごいもので。最近では近所の酒場でも、ちょくちょく演奏を依頼されたりするようになったとか。子供時代は満足にできなかったことに取り組む彼の姿を見ていると、私もなんだか楽しくって。

(ふふっ……いずれ、こちらに戻る前のことを物語にして、彼に吟遊詩人みたいに語ってもらっちゃうのも、面白いかもね)

 そんなことを考えながらも微かに胸が痛んだのは……多分、時の移ろいを実感したから。

 月日の流れが否応なく私たちを終わりへと近づけてゆく中、この幸せをいつまで保ち続けることができるのかな……と。

「――大丈夫、どこへも行かないから」

 立ち止まった目の前でアルベール様が笑い、玄関のドアを開いてくれた。
 光がすっと差し込んで、私たちの姿を優しく照らす。
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