男装して逃げた先は、生徒会の王子寮でした。

『……よろしく』

伊藤は、ほっとしたように笑った。


翔「……なんていうか、普通だな」

『え?』


翔「あ、いやなんかさ、噂になってんだよ。首席で顔も良いけど、近寄りがたいって。

……けど、話してみたら別に普通だなぁと思って」


曖昧に目を逸らす。

普通、という言葉が胸に刺さった。


――普通になりたい。

でも、普通じゃいられない。


そのまま会話が続くかと思った瞬間。

教室の扉が開き、空気が変わった。


「うわ、生徒会だ」

誰かの小声が聞こえる。

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