男装して逃げた先は、生徒会の王子寮でした。

朝霧先輩が軽く手を振る。

玲「あ、いたいた凪くん。お弁当渡すの忘れてたからさ、届けに来た」


教室中の視線が刺さる。

思わず硬直した。


生徒会が、特待生に話しかけている。

それだけで噂になるには十分すぎる。


小さく息を吸い、できるだけ淡々と答えた。

『……わざわざ、ありがとうございます』


星宮先輩が顔を覗き込みながら言う。

琉「ねぇ、凪くん。ちゃんと食べるんだよ?」


指先がわずかに震えた。


“食べる”。

朝のことを思い出すと、胃がきゅっと縮む。

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