男装して逃げた先は、生徒会の王子寮でした。

昼休み。


食堂に行く人、友達と中庭に行く人がいる中、教室に残って、弁当箱を机の上に置いた。

でも、蓋を開ける手が止まる。


食べる。

それだけのことが、どうしてこんなに怖いのか。


周囲では弁当を広げる音がする。

笑い声がする。


無意識に指先をぎゅっと握った。


――食べなきゃ。

でも、喉が詰まって、胃が拒絶する。


そのとき、ガラッと扉が開いた。


入ってきたのは朝霧先輩だった。

教室の中を見回して、私の方に目を向けると、当たり前みたいに近づいてくる。

< 49 / 168 >

この作品をシェア

pagetop