男装して逃げた先は、生徒会の王子寮でした。
玲「凪くん、教室にいたんだ。……食べてないじゃん」
弁当箱を手で隠すようにして、小さく言った。
『……後で食べます』
朝霧先輩は隣の椅子に腰を下ろし、こちらを見つめた。
玲「後で、って。朝も食べてなかったよね」
一瞬、呼吸が止まりそうになった。
……気づかれている。
視線を逸らし、声を低く保った。
『……平気です』
朝霧先輩は笑わなかった。
玲「平気って言う人ほど、平気じゃないんだよ」
軽い人のはずなのに、今は真剣だった。
胸が締めつけられる。
それ以上言われたくなくて、お弁当の蓋を開けた。