男装して逃げた先は、生徒会の王子寮でした。

玲「凪くん、教室にいたんだ。……食べてないじゃん」


弁当箱を手で隠すようにして、小さく言った。

『……後で食べます』


朝霧先輩は隣の椅子に腰を下ろし、こちらを見つめた。

玲「後で、って。朝も食べてなかったよね」


一瞬、呼吸が止まりそうになった。

……気づかれている。


視線を逸らし、声を低く保った。

『……平気です』


朝霧先輩は笑わなかった。

玲「平気って言う人ほど、平気じゃないんだよ」

軽い人のはずなのに、今は真剣だった。


胸が締めつけられる。

それ以上言われたくなくて、お弁当の蓋を開けた。

< 50 / 168 >

この作品をシェア

pagetop