社長、その溺愛は計算外です

「俺は君に会いに行った。婚活パーティーで、必死に仮面を被って笑おうとしている君を見て……あの会議室で真っ直ぐにぶつかってきた君の、別の顔をもっと知りたくなったんだ」

「……ずるいですね、あなたは。最初から全部見抜いていたなんて」

「そうかもしれない」

私たちはしばらく、二人で黙って窓の外を見ていた。

やがて圭佑さんが、私の手を握りながら、ふっと息を漏らした。

「梓。君との恋愛は、俺の計算を、全て外れてくれた」

「私も同じです。圭佑さんの溺愛は──完全に、計算外でした」

圭佑さんが、私を引き寄せて額を合わせた。

「これからも、計算外であり続けてくれ」

「喜んで」

窓の外に、初夏の風が吹き抜けていく。

これから先、どんな困難があっても。仕事で迷った時も、揺らいだ時も。この人と一緒なら、正直に向き合える。

それが、私たちの幸せの形だから。

仮面を脱ぎ捨て、本当の自分で愛を誓い合った二人のこれからは、まだ誰も知らない。

【完】
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