スパダリ救急医はシンデレラと双子ベビーに深愛を注ぐ
 救急センターから外に出ると、辺りはすっかり暗くなっていた。頭上に広がるのは、星のない都会の夜空だ。

「さぁ、おうちに帰――」

 そこで、はたと光莉は言葉を切る。帰るべきおうちが焼失したのを、たった今思い出したのだ。

(火災保険の会社、なんてとこだったっけ? いや、まず先に不動産会社に連絡して……)

「あぁ」

 待ち受けている煩雑な手続きを想像するだけで、げんなりした気分になる。光莉はがっくりとうなだれた。

(いやいや。おばさま含めて住民みんな、命は助かったみたいだし。不運だけど不幸じゃなかったわ)

 自分にそう言い聞かせて前を向く。まずは今夜の寝床の確保、そう考えてスマホを取り出そうと北斗の手を放した瞬間、彼がパッと光莉より前に出る。

「おぉ! かっこいい車っ」

 駐車場に停まっている高級車に北斗は目を輝かせた。車に詳しくない光莉にはよくわからないが、海外ブランドの車だろうか。

「みなとにも見せて~」

 北斗につられて南斗まで光莉の手を放そうとする。

「南斗、ダメ。ほら、北斗も!」

 北斗を呼び戻そうとした光莉の横を、誰かの長い脚がスッと追い越す。

「危ないよ。車が来るかもしれないからね」

 知的で穏やかな声で言って、その人は北斗を守るように自分が車道側に立ってくれた。

「すみません! ご迷惑を」
「いえ、元気でかわいいお子さんだ」
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