スパダリ救急医はシンデレラと双子ベビーに深愛を注ぐ
 悠久の時を閉じ込める琥珀はとても美しい宝石だけど……。

(柚木くんのこの瞳のほうがずっと綺麗)

 そう思うのは、惚れた欲目ってやつだろうか?
 光莉は手を伸ばし、少し癖のある彼の焦げ茶色の髪に指を差し入れる。なめらかで柔らかな感触が心地よい。
 キスをねだったと思われたのか、あるいは彼がそうしたいと思ったのか、光莉の唇にまた温かなぬくもり落ちてきた。ついばむような、軽い口づけ。
 彼の指先が白いシーツに広がる光莉の黒髪をひと房すくった。

「光莉の髪は綺麗だな。艶やかで、まっすぐで」
「そうかな? ありがとう」

 二十七年も付き合ってきた自分の容姿を嫌いなわけじゃないけれど、学生時代は『王子』とささやかれていたほどの完璧な美貌を持つ彼と比べたら、光莉は顔もスタイルもあまりに平凡だ。
 血色がなく青白さを感じさせてしまう肌、憂いのある目元、小さな鼻と薄い唇。典型的な『幸薄顔』だと自分でも思う。
 髪は胸下までの黒髪ロング。身長は百六十三センチ、骨格のせいか実際の体重より痩せて見えるのはお得といえばお得かもしれない。 
 そんな、どこの学校にも会社にも数人はいそうな容姿の光莉を彼はいつもさりげなく褒めてくれる。外見だけではない。内面の、自分では欠点だと思っていた部分も彼の魔法にかかればあっという間に美点になってしまう。
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