君にメノウを贈る時
「職員室行くだけだからついて来なくていいって!」

「ちゃんと提出物出したかどうかきちんとその目で確かめるまで見張っておくから!」

珊瑚が琥珀をよく気にかけるため、「お前ら付き合ってんの?」とクラスメートたちに言われることも少なくなかった。琥珀も産後もすぐに否定するものの、琥珀は悪い気持ちはしなかった。

(俺、一のこと好きだしな)

しかし、心の中では何度も愛を叫ぶものの、素直になれない琥珀は珊瑚に言う言葉は高校生になっても裏腹なままだった。



「……なぁ、一」

雪を踏み締めながら琥珀は立ち止まる。吐き出した白い息が切なく消えていく。珊瑚が振り返った。

「何?琥珀」

「留学、マジで行くの?」

琥珀の問いに対し、珊瑚は首を縦に振った。

「うん。行くよ。これが私の夢へと一歩だから」

そう言った珊瑚の顔は凛々しく、迷いなどは一切見られなかった。日本を離れることーーー「俺や他の友達と会えなくなるのは悲しくないのかよ」と、琥珀の口から出てしまいそうになる。
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