君にメノウを贈る時
珊瑚は幼い頃からバレエを習っており、プロのバレリーナを目指している。それを琥珀が知ったのは、珊瑚の高校卒業後の進路がイギリスへのバレエ留学が決まった時だった。

「高校卒業したら、すぐにイギリスに行くのか?」

「うん。向こうの生活に早く慣れないといけないから」

留学期間は三年。琥珀にとってはあまりにも長い時間だ。

「そんなに長い間、日本から離れていいのかよ」

琥珀が吐き捨てるように俯きがちに言うと、珊瑚がジッと琥珀の顔を覗き込む。琥珀の顔に熱が集まった。

「な、何だよ!!」

「琥珀、どうしたの?寂しくなっちゃった?」

珊瑚がコテンと首を傾げる。琥珀はすぐに「違ぇし!!自惚れんな!!」と否定した。しかし、胸は高鳴ったまま止まない。

「そう。ならいいけど」

珊瑚はそう言い、夜の駅を歩き出す。琥珀も胸に後悔を秘めながら歩いた。



次の日。土曜日のため、学校はない。三年生は部活をとっくに引退している。あとは冬休みを迎え、進路が決まった者は自動車学校に通い、卒業を待つだけだ。
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