ぼくと世界とキミ

ある日泉に向かうと、いつもの様にライラの姿を見つけた。

「……ジル!!」

俺の姿に気付いたライラが、慌てて駆け寄って来る。

その彼女の姿が近くなるにつれ……奇妙な違和感を覚えた。

ライラが何やら……《黒いモノ》を抱えている。

「……拾っちゃった」

そう言って可愛らしい笑顔を向けるライラの腕の中に……《黒い生き物》がいた。

黒い毛玉の様なそれはライラの腕の中で微かに蠢き、そしてその中に禍々しい《赤》を見つける。

「お前……それは魔物じゃないか!?」

そう言って驚いた様に目を丸くすると、ライラは困った様に笑いながらコクンと頷いて答えた。

驚いた事にライラの腕の中に……《魔物》の子供が抱かれている。

「ク~?」

魔物の子供は小さな声で鳴くと、怯える様に赤い瞳を俺に向ける。

「親と……はぐれたみたいなの」

そう言ってライラが優しく魔物の頭を撫でると、魔物の子供はその手にそっと頭を摺り寄せた。

「……駄目だ。捨てて来い」

そう冷たく言い放つと、彼女は悲しそうな顔をしてギュッと黒い毛玉を抱き締める。

……優しい彼女の事だ。

きっと自分が育てると言い出す筈だ。

「……私が育てる」

……ほら来た。
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