虐げられた末に復讐を終えた王女は、世界で一番幸せな王妃となる
 エクリーユはせめて己のいだく感謝が彼に伝わりますようにと願い、瞳を細めて告げた。

「リドディエ様は、とてもお優しい殿方ね……」

「さぁて、な」

 彼は遠い目をしながらどこか寂しそうに口元を和らげると、エクリーユの額をポンポンと優しく撫でつけた。

(こうして殿下に撫でられていると、心が安らぐのはなぜかしら……)

 イトゥクと陛下が結託しているのではないかという懸念は、まだ拭い取れない。
 しかし、こちらを見つめる優しい瞳や、額を撫でる指先の温かさは、本物だ。

(こうして、ずっと一緒に……。穏やかな時を、過ごせたらいいのにね……)

 エクリーユは叶わぬ願いをいだきながら、ゆっくりと瞳を閉じた。
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