虐げられた末に復讐を終えた王女は、世界で一番幸せな王妃となる
『アティール王国第2王女、エクリーユ・アベティーラへ。隣国の王から手紙が送られてくるなど、困惑するのは無理もない。理由については、会ってから話をしよう。ここに、用件だけを書き記す。僕の妻になってほしい。いい返事を、期待している』

 それは口数の少ないリドディエらしい簡素な手紙で、エクリーユはその内容を目にした瞬間に真紅の瞳を瞬かせて口元を覆う。

「陛下は、弱者を装う強者を毛嫌いしております。ですので、騙し討ちのような形で信頼関係を破壊した彼のことを、許せなかったのでしょう」

「2人は親友だと、聞いていたけれど……。その言い方なら、仲違いでもしたの……?」

「いえ……。表面上は、普段と変わらぬ距離感で接しておりました。しかし……。姫様と妹君を比べ、後者を選び取った姿を目にしてついに我慢しきれなくなったのでしょう。陛下はこの一件以降、第5王子に対する嫌悪をさらけ出すようになったのです」

 乳母の説明を受けたエクリーユは、ようやく合点がいく。
 仲がよかったはずなのに、兄の話題が出た瞬間に嫌悪を露わにする理由を……。
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