虐げられた末に復讐を終えた王女は、世界で一番幸せな王妃となる
 エクリーユが反省した様子を見せると、テラマがこちらの顔色を覗き込みながらお伺いを立ててきた。

「私がいない間に、何かありましたか?」

「いいえ」

「ですが……」

「どうして、この部屋から見える位置に白百合が咲いているのかしら……」

「陛下が、お好きだからですよ。365日、目覚めた時に白百合を見たいと仰って……。庭師に植えさせたのです」

「リドディエ様が……」

 エクリーユは悲しそうに目を伏せると、ぼんやりと考える。

(目障りだからあの花々を散らしてと言ったら、彼は叶えてくださるのかしら……)

 いくらどんな願いも叶えてやると約束されていたとしても、自分が好きなものを処分してくれと言われて黙って言いなりになる人のほうが珍しいだろう。

(きっと、無理ね……)

 あの場所で咲き誇る花々に罪はないのだから。
 エクリーユがあれらを視界に入れないように生活したほうが、よっぽどいい。

「姫様……? なんだか……」

「にゃあ?」

「なんでもないの。おかわり、くださる?」

 少女は不思議そうな鳴き声を響かせる黒猫を優しく撫でながら、乳母に促す。
 彼女はテキパキとティーカップに茶葉を注ぐ。
 その様子をぼんやりと見つめた第2王女は、いつまでも取り繕った笑みを浮かべて平気なふりをし続けた。
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