虐げられた末に復讐を終えた王女は、世界で一番幸せな王妃となる
(さすがは大国……。母国に比べると何もかも、スケールが違うわ……)

 執務室、客間、ダンスホール、厨房――ゆとりのある広々とした部屋の数々を目にした少女は、真紅の瞳を輝かせてその光景をうっとりと見つめていた。

(お城で働くみなさんも、とってもいい方たちで……。これもすべて、陛下のお人柄がいいからなのでしょうね……)

 使用人たちから「姫殿下」と呼ばれて笑顔を向けられることに驚きを感じながら。
 エクリーユは彼とともに王城内を一周し終えると、馬車に乗って街に繰り出した。

 *

 エクリーユは風景画でしか民家の立ち並ぶ光景や平民たちが行き交う姿を目にする経験がなかった。
 そのため、陛下のエスコートを受けて馬車から降りた少女にとって、平民の日常は非日常に写ったのだろう。
 少女は感嘆の声を上げながら、ぽつりと呟いた。
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