虐げられた末に復讐を終えた王女は、世界で一番幸せな王妃となる
 彼女は呆れたように肩を竦めると、手慣れた手つきで乳母とともに壁際へ控えていた側使えと何やら金銭のやり取りをし始めた。

「お洋服は、このまま着ていかれますの?」

「ああ。着慣れておいたほうがいいからな。それに……。これから街の様子を、見て回る予定だ。宣伝にもなるだろう」

「陛下のお心遣い、感謝いたしますわ」

 エクリーユがぼーっとしている間に、2人の中でやり取りが終わったらしい。
 わざわざ身に纏っていたドレスに着替える必要がない以上、ここにいても仕方ないと考えたのだろう。

「行こう」

「またのお越しを、お待ちしておりますわ」

 少女は彼のエスコートを受け、呉服店を出た。

「リドディエ様……。本当に、よかったの? 髪留めだけではなく、衣服まで……」

「ああ。ちょうどいい機会だ。遠慮せず、着倒してくれ」

「でも……。頂いてばかりは、なんだか恐縮してしまうわ……」

 エクリーユが他者に何かをしてもらった記憶など、ほとんどない。
 プレゼントなんて、その最たるものだ。

(どうせ何かを誰かから頂いたとしても、すぐに壊してしまうもの……)

 もしも自国にいた時、リドディエから贈り物をしたいと言われても――少女は絶対に受け取ろうとは思わなかっただろう。
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