虐げられた末に復讐を終えた王女は、世界で一番幸せな王妃となる
 殴る蹴るの暴行を日常的に受けていたからこそ、どんなにそれらを大切にしたいと思っていてもできないと自覚しているからだ。

(陛下が私をここに連れて来てくださって、本当によかったわ……)

 やり方こそ多少強引だったが、彼のおかげでエクリーユは初めて大事にしたいと思える贈り物をプレゼントしてもらえた。
 それを喜ばずして、どうするのか。
 心が幸せでいっぱいに満たされた少女は、真紅の瞳を綻ばせて絡め合った腕に細い身体をピトリと密着させる。

「人酔いでもしたか」

「いいえ。リドディエ様のぬくもりを、感じたかっただけよ……」

「嬉しいことを、言ってくれるな。自らが王であることも忘れて、抱きしめたくなってしまう」

「陛下……」

 彼は紫の瞳を愛おしそうに和らげ、少女の望みを叶えるかのように腰元に手を伸ばして引き寄せた。
 より密着する体制になったせいか。
 エクリーユの鼓動は高鳴り、頬に赤みが増す。
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