虐げられた末に復讐を終えた王女は、世界で一番幸せな王妃となる
「ああ、楽しかった」

 王城に戻ってきてすぐ、口元だけに笑みを浮かべた第2王女はまったく心の籠もっていない声を発した。

(この忌々しい花が目の前になければ、心の底からリドディエ様と過ごした時間が楽しかったと思えたのに……)

 エクリーユがそう思えなかったのには、理由がある。
 彼の寝室――今となっては少女の住居と化した窓から外を見渡した際、視界に飛び込んでくる花壇の前までやってきたからだ。
 そこには枯れかけた白百合の花が、最後の力を振り絞って必死に咲いている。

「無理をするな」

「いいえ? 本心よ」

「エクリーユ。僕に何を、隠しているんだ」

 一度ならず二度までもはぐらかすのは、さすがによくはないだろう。

(本当は、恐ろしくて堪らない……。私の本心を知ったら、陛下も自分を嫌いになってしまうんじゃないかって……)

 エクリーユの脳裏にはいつだってそんな不安が過っていたが、彼が自分を心の底から心配してくれているのは、明らかなのだ。
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