虐げられた末に復讐を終えた王女は、世界で一番幸せな王妃となる
「あなたにも、永遠に消えない傷を刻み込んであげる……」

 黒髪を逆立たせて怒りに打ち震えた少女は、大嫌いな妹を両親たちと同じように焼き殺さんばかりの勢いで、痛めつけようと試みる。

「いや……っ。やめて……!」

 彼女は炎から身を守るため、異能を発現させた。
 どこからともなく出現した百合の花がリシーロの小さな身体に纏わりついて、大輪の花を咲かせる。
 それが、憎たらしくて仕方がない。

(あの子を象徴する、百合の花……)

 世間では純潔の百合姫なんて2つ名で呼ばれているが、その性根は腐りきっていた。

 家族だけではなく、国民たちから一心に愛されてきた。
 そんな彼女の本性を人々が知れば、もう二度とリシーロが称賛を受けることなどない。

(美しく可憐に、気高く咲く百合の花を無惨に手折る……。それが私の、使命なのだから……)

 憎悪に支配されたエクリーユは妹を守る植物たちごと燃やし尽すため、炎を放った。

(塵すら残さず、消えて!)

 しかし――。
 こちらの思惑通り、彼女が無様な姿を晒すことはなかった。
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