虐げられた末に復讐を終えた王女は、世界で一番幸せな王妃となる
「い、いえ。なんでもありません」
「君は傷ついても、じっと我慢するべきだと考えているようだが……。それは誤りだ」
「で、でも……」
「誰かに話せば、心が軽くなることもある」
これは声に発することなく、自分の心の中で留めておくべきだ。
エクリーユはそう思っていたのだが、彼は話してほしいと少女に促す。
「陛下が、不快な気持ちになるんじゃ……?」
「僕は確かに、あの男が嫌いだ。君の口から話題が出るだけでも、腸が煮えくり返ってしまうほどに」
「だったら……」
「彼と過ごした日々は、兄妹だけの思い出として大切に心の底へ仕舞っておこう――そんなふうに隠し通されるほうが、よほど苛立ちが募る」
「どうして……?」
「ムガルバイトが、それを望んでいるからだ」
陛下は大嫌いな親友の名を口にすると、表情を歪めて吐き捨てる。
「あの男の願いは、なんとしてでも実現しないように邪魔をしたい。そう強く想っている時点で、僕も君と同じくらい――心が穢れている」
「リドディエ様……」
「僕の隣に並び立つべき王女は、君だけだ。エクリーユ」
ここまで望まれたら、彼を拒む選択をすることすらも億劫で――少女は渋々、語り出す。ずっと心の奥底にしまい込んでいた、ある日の出来事を。
「君は傷ついても、じっと我慢するべきだと考えているようだが……。それは誤りだ」
「で、でも……」
「誰かに話せば、心が軽くなることもある」
これは声に発することなく、自分の心の中で留めておくべきだ。
エクリーユはそう思っていたのだが、彼は話してほしいと少女に促す。
「陛下が、不快な気持ちになるんじゃ……?」
「僕は確かに、あの男が嫌いだ。君の口から話題が出るだけでも、腸が煮えくり返ってしまうほどに」
「だったら……」
「彼と過ごした日々は、兄妹だけの思い出として大切に心の底へ仕舞っておこう――そんなふうに隠し通されるほうが、よほど苛立ちが募る」
「どうして……?」
「ムガルバイトが、それを望んでいるからだ」
陛下は大嫌いな親友の名を口にすると、表情を歪めて吐き捨てる。
「あの男の願いは、なんとしてでも実現しないように邪魔をしたい。そう強く想っている時点で、僕も君と同じくらい――心が穢れている」
「リドディエ様……」
「僕の隣に並び立つべき王女は、君だけだ。エクリーユ」
ここまで望まれたら、彼を拒む選択をすることすらも億劫で――少女は渋々、語り出す。ずっと心の奥底にしまい込んでいた、ある日の出来事を。