虐げられた末に復讐を終えた王女は、世界で一番幸せな王妃となる
「惚れたか?」

 冗談めかして問いかけられるなど思わず、少しだけ面食らってしまう。
 だが――悪い気がしないのは、彼を心の底から信頼している証拠だと思いたかった。

「……少しだけ、好意的に見られるような気がするわ……」

「いいことだ」

 リドディエは満足そうに頷くと、聞き取りづらい声で何かを呟いた。

「いつかは、あの男のことなど忘れ――俺だけで頭の中をいっぱいにしてくれるといいのだが……」

 エクリーユは彼の願望を聞き取ることができず、不思議そうに小首を傾げる。
 その後、婚約者に問いかけた。

「陛下? 今、何か……」

「なんでもない」

 しかしリドディエは、もう一度同じ言葉を呟いてはくれなかった。

(気の所為かしら……?)

 エクリーユは来たときと同じように彼の手を取り、この場を立ち去った。
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