虐げられた末に復讐を終えた王女は、世界で一番幸せな王妃となる
 バタバタと遠くから響く足音がどんどんと近づき、ついには寝室の扉を激しく叩き始めたからだ。

「陛下! 大変です!」

「はぁ……。テラマ」

「かしこまりました」

 深い溜息を溢した彼は乳母に来客対応をするように命じたが、エクリーユの身体から離れることはない。

(有言実行は、いいことだけれど……。陛下を呼びに来た人たちはきっと、困っているわよね……?)

 少女はリドディエからどうにか身体を離そうとしたが、王が己を抱きしめる力は強まるばかり。

 2人はしばらく、無言のまま攻防戦を繰り広げていたが――テラマが招かれざる客の勢いを抑えきれず、寝室に屈強な騎士団の男たちがなだれ込んでくるほうが早かった。

「中央広場の大樹が倒れ、大きな騒ぎになっています!」

「なんだと?」

 その報告を聞いたエクリーユにも、思い当たる節がある。
 彼と城下町を回った際、目にしていたからだ。
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