虐げられた末に復讐を終えた王女は、世界で一番幸せな王妃となる
(私よりもあとから生まれたくせに。白百合の君と呼ばれ、国民たちに愛されるリシーロ……)

 真っ先に思い浮かべたのは、大嫌いな妹だ。
 彼女と生まれる順番が逆なら、こんな感情をいだかずに済んだかもしれないが――。
 エクリーユが長女としてこの世に生を受けたせいで、悲劇は始まった。

(誰に命令されたのかはわからないけれど、リドディエ様へ会いに来て、こんな置き土産を残していったイトゥク兄様……)

 続いて、シンボルツリーを己の異能で腐敗させた第四王子に恨みを募らせる。
 彼が「嫌だ」と一言拒否すれば、エクリーユがこうして異能を発動することはなかったからだ。

(妹を婚約者に据えたムガルバイト兄様も……。みんな、大嫌い……!)

 少女の憎悪は炎の勢いを強め、いつまで経っても延焼する様子のない倒木を塵へと変える。

(もっと……っ!)

 エクリーユはリドディエの役に立つため、必死に異能を使い続ける。

(苦しい。つらい。もう止めたいなんて態度は、見せられないわ……!)

 彼はこちらが弱った姿を見せれば、「もうやめろ」と静止するはずだ。
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