虐げられた末に復讐を終えた王女は、世界で一番幸せな王妃となる
(どちらにしても、エクリーユが魅力的な女性であることは代わりがないのだから……)

 細かいことを気にする時間がもったいない。
 そう考えたあと、寝台の縁に腰かけた。

「ずっと、そばにいてくれ。僕の最愛……」

 ――眠り姫は王子のキスで、目覚めるらしい。

 彼女は王女で、自分は国王だ。
 おとぎ話とまったく同じ関係にはなれないが――さすがに唇同士を触れ合わせれば、エクリーユも己が本気で愛していると気づいてくれるかもしれない。

(僕は、君だけが好きだ。心の底から、思い続けている……)

 最初は、ただの好奇心だった。
 誰に対しても壁を作るムガルバイトが、楽しそうに妹と過ごした思い出話を語る姿に興味が湧いた。

 その気持ちは次第に、恋慕へと変化し――いつか、強い執着心へと生まれ変わる。

(あの男は僕に彼女の話をすることで、優越感に浸りたかっただけだ)

 最愛の妹がどれほど可愛らしく、自分に懐いているのか。
 それを自慢して、「俺の女」と印象づける。
 こちらが羨ましがる度に、彼が心からの笑顔を浮かべていたのがその証拠だ。
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