虐げられた末に復讐を終えた王女は、世界で一番幸せな王妃となる
「リドディエ様に守られるだけではなく……。陛下の隣で、背中を預けられるほどに成長したい……」

「エクリーユ……」

「そのためには、ここでゆっくり身体を休めている暇はないわ」

「無理をするな。時間はまだ、たっぷりとある」

「いいえ。私たちは、急ぐべきよ」

 真紅の瞳に決意を込めた少女は、はっきりとした口調で意思を伝える。
 先程までの自信が無さそうな表情とは打って変わった反応に、リドディエは驚きながらも婚約者に問いかけた。

「なぜ、そう思った」

「シンボルツリーの倒木……。あれは、イトゥク兄様の仕業よ」

 エクリーユは倒木の原因が自らの兄にあると宣言したあと、そう考えた理由を述べる。

「あの人たちは、陛下がリシーロに助けを求めてくるのを待っているの。もしも私があの木を燃やしたと知られたら……。きっとあの女が、思い通りにならない怒りをぶつけてくるわ」

 彼女に取って妹は忌々しい女でもあり、己の身に危害を加える恐ろしい存在だ。
 婚約者が怯えるのも無理はない。
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