虐げられた末に復讐を終えた王女は、世界で一番幸せな王妃となる
「そう……? では、遠慮なく……」

 不思議そうにこてりと首を傾げた少女は、おずおずと彼の指先に触れる。

(よく鍛えられた身体をしているわ……)

 筋肉質でゴツゴツとした感覚が物珍しく感じたせいか。
 エクリーユは思わず、呆然と発してはならない声を紡いでいた。

「男の人って、みんながまったく同じ作りをしているわけではないのね」

「誰と、比べているんだ」

「きゃ……っ」

「あの男か」

「え、ええ……。こんな風に異性と密着する機会は、ムガルバイト兄様とリドディエ様くらいしかなかったもの……」

 ムガルバイトのことを思い出していると、それに嫉妬した婚約者がエクリーユを強く腕にいだく。
 その勢いに押された少女は、慌ててリドディエのほうがずっと好ましいと言い訳のように口にする。

「陛下はがっしりとしていて、頼りがいがあるわよね? 私を抱き上げる姿も、危なげがないし……」

「そう、か……」

 彼は納得しているのか、していないかのか。
 曖昧な言葉で濁したあと、疲れたように苦笑いを浮かべた。
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