虐げられた末に復讐を終えた王女は、世界で一番幸せな王妃となる
 エクリーユは自分も同じ気持ちだと伝えるように、彼を呼びに来た騎士の前であることも忘れてリドディエの身体へ抱きつく力を強めた。

「許可を得る前に、本題に入ったほうがよろしいかと……」

「で、では! 僭越ながら、申し上げさせて頂きます! アティール王国の第3王女が、広場で問題を起こしております……!」

 妹の名が騎士の口から飛び出た直後、リドディエがこちらの表情を覗き込む。
 恐らく、体調を崩していないのかと心配だったのだろう。

(兄様とあの女の婚約を聞いた時は、苦しくて堪らなかったわ……)

 ――しかし、彼と想いを通じ合わせた今は違う。

(私には、リドディエ様がいてくださるもの……。彼は私のどんな我儘も受け入れ、あんな女には靡かない……)

 だからきっと、大丈夫だ。
 己に何度も言い聞かせたエクリーユは、妹に立ち向かうと決めた。

(今日は無理でも、いつかは必ず倒す。私は絶対に、負けないわ……!)

 真紅の瞳に憎悪の感情を宿したエクリーユは、口元を綻ばせて妖艶に微笑む。
 そして、彼に強請る。

「連れて行ってくださる?」

「喜んで。我が愛しの姫君」

 2人は離れないように指先を絡め合い、かつてシンボルツリーがそびえ立っていた広場を目指した。

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