虐げられた末に復讐を終えた王女は、世界で一番幸せな王妃となる
「どういうことよ!? シンボルツリーが倒れて困ってると思って、駆けつけてやったのに! 撤去されたなんて、聞いてないわ!」

 2人が広場へ訪れると、そこでは妹が王女とは思えぬガラの悪さで大騒ぎしていた。

(アティール王国の品位が疑われるから、止めてほしいのだけれど……)

 鬼の形相で白髪を振り回す姿は、白百合の君などという仰々しい異名で呼ばれているとは思えぬほどに野蛮で知性の欠片もない。

 エクリーユは彼と繋いだ指先に力を込めると、リドディエが買い与えてくれた異国情緒溢れる長い袖口を揺らし、大嫌いな女と対峙した。

「残念だけれど、ここでの騒ぎはすべて私が収めたわ。喚き散らす暇があるのなら、さっさと帰ってくださる?」

 まさかこの場に姉がやってくるなど、想像もしていなかったのだろう。
 妹はエクリーユの姿を見捉えた瞬間、声を荒らげた。

「な……っ。何よ……! その意味分かんない格好は……! なんでドレスじゃないの!?」

「陛下が私に、プレゼントしてくださったのよ」

 胸を張り勝ち誇った少女の笑みを見た彼女は、衣服に白百合とは真逆のモチーフが描かれていることに気づいて鼻で笑い飛ばした。
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