虐げられた末に復讐を終えた王女は、世界で一番幸せな王妃となる
「は……っ。黒百合をモチーフにするとか……。わたしに喧嘩を売ってるの?」

「ええ」

「言うように、なったじゃない……!」

 エクリーユは異能に目覚めるまで、妹に怯えることしかできないか弱い少女だった。
 そんな姉がしっかりと頷くなど思いもしなかったようで、額に脂汗を滲ませたリシーロはさっそく姉を罵る。

「その格好、似合ってないわよ! あんたには、ボロ雑巾がお似合いだってこと……! この場で証明してあげる!」

 話し合いでの解決よりも力で屈服させることに慣れ親しんでいるリシーロは、当然のように異能を発現させる。
 ここはどんな悪行を起こしたとしても、見て見ぬふりしかしない使用人たちが過ごす王城ではなく、公共の場だ。

 隣国の民たちに自分の清廉潔白な姿からは想像もつかないほど残虐な姿を見せてもいいと思っているからこその行動だろう。

(その油断が命取りになると考えられぬほど、脳みそが空っぽだともっと早く気づけていたなら……私は怯えずに済んだのかしら……?)

 エクリーユは己の身に迫る植物すべてを燃やし尽くすと、小馬鹿にするような笑みを浮かべた。
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