虐げられた末に復讐を終えた王女は、世界で一番幸せな王妃となる
「できたわ!」

「ああ。あとは、成長するのを待つだけだな」

「ええ……」

 今は小さな苗木だが、何百年という長い時間をかけて、立派な枝葉を茂らせるシンボルツリーとして成長していくはずだ。

(この子が何事もなく、ここで育ちますように)

 エクリーユはそんな願いを込めると、リドディエとともに立ち上がった。

「苦労をかけたな」

「い、いえ……!」

 王族自ら土いじりをすることに難色を示していた騎士は、ブンブンと顔を左右に振りながら二本のスコップを受け取る。それを空の植木鉢に収納し、頭を下げて姿を消した。

「手の汚れを落として、城に戻ろう」

「そうね」

 エクリーユは、シンボルツリーの前から広場を見渡す。
 先程までここで妹が大暴れしていたのが嘘のように、心が凪いでいる。

(土いじりには、セラピー効果があるのかしら……?)

 そんな考えに思い至った少女は、それを確かめるべく指先に付着した土を弄ぶ。しかし、気分は晴れなかった。

「どうした」

 婚約者がいつまで経っても歩みを進めないことに気づいたのだろう。
 陛下が不思議そうに、こちらを見つめている。
 それが何よりも嬉しくて、堪らなかった。
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