虐げられた末に復讐を終えた王女は、世界で一番幸せな王妃となる
「んなぁ……!」

 腕の中にいた黒猫は、まるで「しっかりして!」と少女を勇気づけるかのようにカリカリと胸元を引っ掻く。
 しかし、姉が我に返ってこの場から逃げ出すよりも、妹がこちらに気づくほうが早かった。

「姉様!」

「ひ、姫様! お逃げください!」

 門番は己の横を白髪の少女が通りすぎるのを確認してすぐさま声を荒らげたが、それが出来たら苦労はしていない。

「話を聞いて!」

「や、やめて……!」

「あの男は狂っているの!」

「離して……!」

 鬼の形相で縋りついてきた妹を突き飛ばそうとも、胸元には黒猫がいる。

(この手を払いのけたら、黒猫さんが……!)

 己の身は幼い頃、家族に何度も傷つけられてきた。
 今は自分の身を守ることよりも、陛下の使い魔の安全を最優先に考えるべきだ。
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