虐げられた末に復讐を終えた王女は、世界で一番幸せな王妃となる
「異能を使って、姉様を監視しているのよ!」

 エクリーユが獣を包み込むように見を丸めると、妹は自分が聞いてもいない兄の話をし始めた。

「ムガルバイトは、すごく怒ってた……! 大好きな女が、自分以外の男に愛を囁いているんですもの! そんな光景を毎日のように見て、正常でいられるはずがない……!」

「な、何を言って……っ」

「あいつは、全部知ってる! あんたがここで、どんな暮らしをしているのか! 婚約者との会話まで、すべて……っ!」

 リシーロからムガルバイトが己のストーカーと化していると聞いた少女は、愕然とした。

「んにゃあ!」

 エクリーユが動きを止めた一瞬の隙をついた猫は姉の腕から抜け出て、妹に向かって鋭い爪を立てる。
 獣の攻撃を受けたリシーロは患部を抑え、小動物に牙を剥く。

「痛……っ。何するのよ! 私は今、姉様と話してるの! 邪魔しないで!」
「きゃん!?」

「猫さん……!」

 黒猫は勢いよく振り払われ、姉の胸元へ叩きつけられた。
 獣を抱き留めた少女は、怒りに打ち震える。
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