虐げられた末に復讐を終えた王女は、世界で一番幸せな王妃となる
「後悔していないか」

「何を?」

「僕の手を取ったこと」

「まさか。私、陛下にはとても感謝しているのよ? リドディエ様がいなければ……。今も兄様から、離れられなかったもの……」

 エクリーユは真紅の瞳を細め、ムガルバイトの姿を脳裏に思い浮かべようとした。
 しかし、その光景をすぐに打ち消す。
 彼が兄に嫉妬すると言っていた話を、思い出したからだ。

「あの男の話を妹から聞いて、どう思った」

「そう、ね。もしもの可能性に、思いを馳せたわ」

「どんな?」

「それは、秘密」

「なぜだ」

「リドディエ様が聞いたら、怒り狂ってしまうもの。私はいつだって、あなたに笑ってほしいと思っている。だから、言わない」

 こちらの主張を耳にしたリドディエは、どこか呆れたように肩を竦める。
 その後、静かに声を発した。
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