虐げられた末に復讐を終えた王女は、世界で一番幸せな王妃となる
「懸命な判断だな」
「褒めてくださるなんて、思わなかったわ。どうもありがとう」
「僕はあの男から君を、無理やり奪い取った身だ。エクリーユがまだ、あいつに未練があるのなら……」
紫の瞳が、切なげに揺れたのは一瞬だけ。
即座に瞳の奥底に確かな決意を宿らせ、彼ははっきりとした口調で告げた。
「僕は全身全霊をかけて、君を惚れさせる義務がある」
「まぁ。そんなことしなくたって、いいのに……。私はとっくの昔に、骨抜きよ?」
まさか己の口から、冗談めかしてそんな言葉が紡がれるなど思いもしなかったのだろう。
彼は驚愕で目を見開きながら、こちらを凝視した。
(そんな姿すらも愛おしくて仕方ないと思うあたり、重症ね……)
エクリーユはリドディエに対する愛を深めると、真紅の瞳を悲しそうに伏せながら謝罪の言葉を口にする。
「心配をかけて、ごめんなさい。1人で、考える時間が欲しかったの」
「気持ちの整理は、ついたか」
「ええ。もう、大丈夫よ」
――かつて、エクリーユにとってムガルバイトは世界のすべてだった。
「褒めてくださるなんて、思わなかったわ。どうもありがとう」
「僕はあの男から君を、無理やり奪い取った身だ。エクリーユがまだ、あいつに未練があるのなら……」
紫の瞳が、切なげに揺れたのは一瞬だけ。
即座に瞳の奥底に確かな決意を宿らせ、彼ははっきりとした口調で告げた。
「僕は全身全霊をかけて、君を惚れさせる義務がある」
「まぁ。そんなことしなくたって、いいのに……。私はとっくの昔に、骨抜きよ?」
まさか己の口から、冗談めかしてそんな言葉が紡がれるなど思いもしなかったのだろう。
彼は驚愕で目を見開きながら、こちらを凝視した。
(そんな姿すらも愛おしくて仕方ないと思うあたり、重症ね……)
エクリーユはリドディエに対する愛を深めると、真紅の瞳を悲しそうに伏せながら謝罪の言葉を口にする。
「心配をかけて、ごめんなさい。1人で、考える時間が欲しかったの」
「気持ちの整理は、ついたか」
「ええ。もう、大丈夫よ」
――かつて、エクリーユにとってムガルバイトは世界のすべてだった。