虐げられた末に復讐を終えた王女は、世界で一番幸せな王妃となる
「驚かないんだな」

「ええ。兄様も、家族から距離を置いていたもの。あれはきっと、自分がよそ者だと知っていたからなのね」

 今にして思えば、ムガルバイトは家族の中で浮いた存在だった。
 エクリーユを虐げることに命をかける兄妹たちに苦言を呈することなく、己を守るような素振りを見せていた。
 こちらが把握している限りでは悪態をつかれるくらいで、協調性のない彼のやり方に誰も疑問をいだくことなく黙認していたのは、そういうことなのだろう。

「リドディエ様はどうして、兄様の秘密を知っているの?」

「本人から聞いた」

「そう……」

 エクリーユの疑問は尽きない。
 ムガルバイトに対してはすでになんの未練もなかったが、これ幸いと少女は質問を繰り返す。

「どうして今、打ち明けてくださったの?」

「あの男の口から真実を告げられたら、エクリーユは動揺するだろう」

「そうね……」

「隙を見せて、奪い返されるのだけは避けたかった」

「私はリドディエ様のそばから、離れる気はないわよ?」

「ああ。わかっている」

 不敵な笑みを浮かべた婚約者の姿を目にした国王もまた、優しく口元を綻ばせる。
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