虐げられた末に復讐を終えた王女は、世界で一番幸せな王妃となる
「とにかく、他人行儀な口調は止めてくれ」

「ですが、私は陛下を……」

「リドディエだ」

「存じておりますけれど……」

「君には、僕の名を呼ぶ資格がある」

 なぜ彼が名前で呼んで欲しがるのかはさっぱり理解できないが、機嫌を損ねて引っ叩かれるのは嫌だ。
 エクリーユは渋々、陛下の願いを受け入れると決めた。

「わかったわ。リドディエ様」

「敬称も不要だ」

「そこまでは、さすがに……」

「では、考えておいてくれ」

「そうね……」

 二人の間には、気まずい沈黙が下りる。

(ここがどこなのかを、確認しておかなければ……)

 エクリーユは閉じた瞳をゆっくりと開いて冷静さを取り戻すと、おずおずとリドディエへ問いかけた。

「あの……。ここは、一体……」

「我が国の王城。僕の部屋だ」

 彼の口から思わぬ言葉が飛び出て、目を丸くする。
 国王の私室など、自分のような人間が入り込んでいいような場所ではないとわかっていたからだ。

(お父様の部屋にだって、入室を許されなかったのに……)

 青ざめたエクリーユは慌ただしく四肢を動かして、陛下の腕から抜け出そうと試みる。
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