虐げられた末に復讐を終えた王女は、世界で一番幸せな王妃となる
「暴れるな」

 いくら無理やり連れて来られたとしても、こちらの事情など周りの人間には関係ない。
 彼の側近に見られでもしたらどんな罵詈雑言を受けるかなどわかったものではなかったからだ。

「なぜ逃げる」

「もう、嫌なのよ……っ。誰かに悪意を、向けられるのは……!」

「僕は国王だ。誰にも文句は言わせない」

「でも……っ」

 反論しかけた少女の言葉が不自然に止まったのは、細い身体を抱きしめる腕の力が強まったからだ。
 青くなったり赤くなったり忙しない様子を見せるエクリーユを批難するかのように、細められた紫色の瞳が向けられる。

「行く宛はあるのか」

「そ、それ、は……」

「今すぐにここを飛び出したところで、〇〇王国に到着するのは2週間後だ。自国に辿り着くまで、生き延びられる保障は?」

「あ、あんな国に、私の居場所はないわ……。最初から、戻るつもりなんて……」

「なら、我が国で暮らすしかないな」

 彼はそれしか方法がないと言わんばかりの口調で、エクリーユに提案した。
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