虐げられた末に復讐を終えた王女は、世界で一番幸せな王妃となる
「やぁ。待っていたよ」

「兄、様……」

「リシーロから聞いたんだろう? 僕が異能を使って、監視していること。なのに……所構わずイチャイチャと……。何度、気が狂いそうになったか……」

「君の弟を通じて、伝えたはずだ。僕たちにかかわるなと」

「そんな命令をされて、はいそうですかと素直に受け入れるはずがないだろう?」

 そこで待ち受けていたのは、アティール王国の王となったムガルバイトだった。

(目に、光がないわ……)

 リドディエと一触触発な雰囲気を醸し出す兄の瞳には、精気がない。
 エクリーユを彼に奪われ、嫉妬心でどうにかなってしまったのかもしれない。

「たとえ身体だけではなく、心までもその男のものになったとしても――俺は必ず君を取り戻してみせる。そうじゃなきゃ、今まで優しくしてやった意味がないだろう?」

「兄様……。それは一体、どういう……」

「唯一の味方が俺しかいなれば、エクリーユは自分だけを好きになってくれる。今までの行動はすべて、君を妻として娶るための布石さ」

 心ここにあらずな異常とも言える状態のムガルバイトを好きになるなどあり得ないのに、兄はさらに自分が思わず聞き返してしまうほどに恐ろしい発言をした。
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